經ヶ嶋 辨財天 由来
〜小江戸川越裏鬼門の守り神〜
由来
当山の弁財天は「経ヶ島辨財天」と呼ばれ、遠く室町時代に由来します。
かつて度々起る川の氾濫を鎮める為に、時の地頭がまず法華経を小石に書写し塚を築きました。経ヶ島とは塚を築きお経を納めることを指しています。そしてこの塚に水神として名高い辨財天を祀り守護神としたのが始まりです。
辨財天に寄せられた和歌(江戸時代)
宝をも うち出す神の徳ゆへか つちのとの巳にまつる御社 阪月
弁天の 影向(ようこう)なれや 燕子花(かきつばた) 池のおもても紫の雲 茂躬
この神の 恵みに茂れ 蛇復盆子(へびいちご) 如松
辨財天像(弁天堂)
弁天堂に祀られている当山の辨財天は一面八臂(いちめんはっぴ)、頭に宇賀神を冠した宇賀辨財天です。8本の手には剣をはじめ弓、矢、矛(ほこ)、斧、長杵、鉄輪、羂索(けんさく・投げ縄)の武具を持ち、鎮護の水神として古来より650年に渡り信仰を集めて参りました。
辨財天特有の学芸神・音楽神としての役割に加え、戦勝女神の性格を持ち合わせているのが当山の辨財天の特徴です。この所以から現在では技芸向上、芸術系学校の合格祈願のご参詣者が度々訪れるようになりました。
※辨財天像は弁天堂の最奥の蔵祠に祀られておりますため外からは大変見づらいかと思われます。当HPの写真をお使いの際は出自元を明記の上ご利用頂きますようお願い致します。
十五童子
当山の辨財天は十五童子(じゅうごどうじ)を使者として従えております。
十五童子はそれぞれの役があり以下の通りとなっております
- 印鑰童子(いんやく)…悟りと解脱の伝導神
- 官帯童子(かんたい)…法の守護神
- 筆硯童子(ひっけん)…学問成就の神
- 金財童子(こんざい)…金銀財法・商売繁盛の神
- 稲籾童子(とうちゅう)…五穀豊穣の神
- 計升童子(けいしょう)…秤で真価を計る経理の神
- 飯櫃童子(はんき)…食物授与の神
- 衣装童子(いしょう)…衣装を捧げる着衣の神
- 蚕養童子(さんよう)…繭器を捧げる衣類の神
- 酒泉童子(しゅせん)…酒の神
- 愛敬童子(あいぎょう)…敬愛・恋愛成就の神
- 生命童子(しょうみょう)… 福寿・長寿の神
- 従者童子(じゅうしゃ)…牽引力を持つ経営の神
- 牛馬童子(ぎゅうば)…動物愛護の神
- 船車童子(せんしゃ)…船車を持つ、交通安全の神
辨財天御分身像(本堂内)
本堂内には辨財天の御分身像が安置、奉られております。
本堂内はご自由に昇殿頂けます。本堂正面向かって右側の玄関よりお上がり下さい。
本堂内は中央の御本尊・辨財天像に限り撮影は可能です。堂内静粛にて昇殿頂きますようお願い致します。
※なおご法要、祈願祈祷、その他行事により堂内使用中の際は御入堂頂けません。予め御了承下さい。
また御参拝・撮影目的以外の方は入堂ご遠慮下さいますようお願い致します。
かつての辨財天
かつて弁天堂は川から引いた境内の池に浮かぶ建物、まさに島のようでした。
(赤間川より臨む辨財天・大正4年)
境内池畔より臨む弁天堂
(大正4年 経ヶ島辨財天 記念書物より)
大正2年 川越市街図(川越図書館 蔵)
下部中央に辨財天妙昌寺
大正2年 川越市街図 拡大(川越図書館 蔵)
当時の川にぽっかり浮かぶ辨財天
大正2年 境内池に祀られる宇賀神、今も同じお姿です
(当山所有 写真)
大正6年 毎年春に行われる辨財天の巳年例大祭の一枚
大勢の稚児と僧侶により盛大に祝われました。
今も変わらぬ弁天堂の佇まい
(当山所有 写真)
昭和4年の辨財天の巳年例大祭の一枚
フレームに入り切らない程の衣装に身を包んだ稚児達。
いつの時代も大勢の変わらぬ信仰によって支えられた辨財天
(当山所有 写真)
昭和中期の境内の様子
池と木々に覆われた境内。子供達の絶好の遊び場でした。
(写真のご提供 誠にありがとうございました)